半導体製造でいうパーティクルは、空気、液体、ガス、装置やウェーハ表面などに存在する微小な粒子です。回路の短絡や断線、膜やパターンの欠陥につながることがあるため管理が必要ですが、粒子の個数だけで製品への影響は決まりません。影響、測定対象、対策の範囲を分けて考えましょう。
パーティクルが不良につながる仕組み
粒子が加工を妨げてパターンが欠けたり、膜に欠陥を作ったり、導電性の異物が接続すべきでない箇所をつないだりする場合があります。影響は粒径・材質・付着位置・工程で変わるため、すべての粒子が同じ確率でチップを故障させるとは限りません。
単に「電子の流れを妨げる」という説明だけでは、原因の特定に足りません。異物がどの工程で付着し、どの形状・膜・電気特性に影響したかを調べます。粒子数の増加と電気的不良が同時に起きても、それだけで因果が確定するわけではありません。
空気・液体・表面の測定を区別する
| 対象 | 調べること | 比較の注意点 |
|---|---|---|
| 空気・ガス中 | 対象粒径ごとの個数/濃度と経時変化 | 測定位置、流量、採取時間、運転状態 |
| 液中 | 薬液・水の粒子と供給経路の変化 | 試料、採取方法、検出範囲、材料との適合 |
| ウェーハ表面 | 欠陥の個数、位置、分布、種類 | パターン有無、感度、面積、レビュー結果 |
空中粒子が少ないこととウェーハが清浄なことは同義ではないため、製品へ到達する経路も確認します。薬液や装置内部からの発生、搬送・接触部からの付着は、室内の空気だけを測っても十分に把握できません。
ISO 14644-1は空中粒子の濃度による清浄度分類です。同じ対象粒径で比較すると、ISOクラス番号が大きいほど許容粒子濃度は高く、番号を上げることは清浄度の向上を意味しません。
検出した点をすべて粒子と決めつけない
日立ハイテクの鏡面ウェーハ向けLSシリーズは、散乱光を利用して微小異物に加え、スクラッチやその他の表面欠陥も検出します。検出座標をレビューSEMへつなぎ、拡大観察する仕組みも紹介されています。検査装置の検出数を、そのまま付着粒子数とみなさないことが重要です。
測定対象に合う検査条件を選び、必要に応じて形状や成分を確認します。装置や検出条件を変えた前後では、感度が違うため数だけを直接比較できない場合があります。検出の変化と実際の工程改善を区別しましょう。
対策は発生源と経路に合わせる
外部からの持ち込みには、人や資材、搬送と局所環境の管理を行います。材料の粒子には、対象液・ガスに適したフィルターや供給系の管理を検討します。装置の摩耗、堆積物の剥離、反応による生成には、部材と工程条件、清掃・保守の履歴を調べます。
SIAのプラズマ成膜・エッチング資料は、チャンバー内への堆積や剥離が粒子源になり得ることを説明しています。真空チャンバーの粒子源は室内空気の清浄化だけでは抑えられないため、プロセスガス、内壁の状態、搬送、排気などを装置ごとに評価します。ドライプロセスは「空気を使わない輸送」の定義ではありません。
フィルターと洗浄の適用範囲を確認する
HEPA・ULPAの性能は、対象規格、等級、試験粒径や流量などと併せて確認します。両者を一つの捕集率と粒径で表さないことが必要です。フィルター単体の性能が、取付け状態や漏れ、室内発塵を含む実環境の清浄度を保証するわけでもありません。
また、粒子と、溶けた金属成分や空気中の分子状汚染は異なる管理対象です。粒子用の捕集と分子・イオンなどの精製を同一視しないでください。ウェーハ洗浄では除去率と併せて、対象膜の損失、微細構造への損傷、残留と再付着も評価します。
洗浄に使う超純水は、イオン、有機物、粒子などを低い水準に管理した水で、不純物が完全にゼロという意味ではありません。用途に合う管理項目を定め、供給系や使用時の状態も確認します。オルガノの純水・超純水解説も、対象の性質に応じて複数の分離精製技術を組み合わせることを説明しています。
対策の成果は同じ条件で追跡する
- 粒径、材質/種類、測定対象、感度、面積・採取量を記録する。
- 設備、材料、作業、搬送と保守の変化を、欠陥分布や発生時期と照合する。
- 対策前後の粒子と製品欠陥を同じ条件で比較する。
- 改善直後だけでなく、連続運転や保守後にも状態が維持できるか確認する。
同じ粒径のしきい値、測定対象、面積・採取量などで比較するとき、削減率(%)は「(対策前の粒子数-対策後の粒子数)÷対策前の粒子数×100」で表せます。ただし、対策前の粒子数がゼロの場合は計算できません。割合だけでなく、絶対数、測定のばらつき、製品欠陥や歩留まりとの関係も確認します。
「粒子が減った」「歩留まりが改善した」という事例を読むときは、対象工程、粒径と測定法、比較期間、製品の合否基準を確認しましょう。企業名や最新技術という説明だけでは、効果の大きさや他工程への適用は判断できません。
まとめ
パーティクル管理では、異物による影響と測定条件、発生源と経路を結び付けて考えます。空気を清浄にする対策だけで完結させず、材料・装置・搬送・表面を評価し、製品欠陥の変化まで確認することが重要です。



