クリーンルームのクラスは、空気中の粒子の清浄度を伝えるための分類です。数字だけでは条件を特定できず、規格・クラス・指定粒径・濃度単位をセットで読む必要があります。ISOクラスと旧米国連邦規格のClass表記を混同すると、同じ数字でも全く違う濃度を意味してしまいます。
ISOクラスは空中粒子濃度の分類
ISO 14644-1では、指定した粒径以上の空中粒子の濃度で清浄度を分類します。代表的なISOクラス番号は1から9で、同じ粒径なら小さい番号ほど上限濃度が低くなります。単位は空気1m³あたりの粒子数です。
「0.5µm以上」は、ちょうど0.5µmの粒子だけを数えるという意味ではありません。指定粒径以上を累積した粒子濃度です。また、各クラスについて、すべての粒径に分類値が定められているわけではありません。規格表の値と適用範囲を合わせて確認します。
ISOクラス5の3,520は0.5µm以上の値
| ISOクラス | 指定粒径 | 上限濃度 |
|---|---|---|
| ISOクラス1 | 0.1µm以上 | 10個/m³ |
| ISOクラス3 | 0.1µm以上 | 1,000個/m³ |
| ISOクラス5 | 0.1µm以上 | 100,000個/m³ |
| ISOクラス5 | 0.5µm以上 | 3,520個/m³ |
| ISOクラス7 | 0.5µm以上 | 352,000個/m³ |
例えばISOクラス5でも、0.1µm以上と0.5µm以上では上限濃度が異なります。「ISOクラス5=3,520個/m³」と粒径を省く説明では不十分です。仕様書、測定報告、記事や図表には、粒径と単位まで記載してください。
旧Class100とISOクラスは数字の意味が違う
従来の資料では、旧米国連邦規格FED STD 209由来のClass100やClass10000といった表記を見かけます。これらを0.5µm以上の粒子で読む場合、空気1ft³あたりの個数を表します。ISOクラスの番号や個/m³と、そのまま置き換えることはできません。
| 旧Classの表記 | 0.5µm以上の粒子濃度 | 同粒径で概ね対応するISOクラス |
|---|---|---|
| Class100 | 100個/ft³ | ISOクラス5(3,520個/m³) |
| Class10000 | 10,000個/ft³ | ISOクラス7(352,000個/m³) |
この対応は、規格全体の要求や試験方法が完全に同じという意味ではありません。測定・受入・保守の仕様は、採用している規格と版、測定条件に基づいて合意します。「クラス1」「クラス10」など規格名のない表記は、ISOか旧Classかを先に確認してください。
業界名だけで必要なクラスは決められない
半導体、精密機器、医薬品などの業界でクリーンルームは使われますが、同じ業界でも工程や作業、局所環境と室内全体で要求は異なります。どの場所にどの粒子が付着すると不良につながるかを整理し、対象工程に必要なクラスと管理指標を定めます。最も厳しい番号を選べば、それだけで製品品質が保証されるわけではありません。
ISO 14644-1の空中粒子分類は、ウェハ表面の粒子数や汚染物の化学組成、微生物の有無を直接表すものではありません。必要に応じて、表面汚染、分子状汚染、温湿度や微生物など、工程に合う別の管理項目も設定します。
測定時の状態を合わせる
設備が完成した状態、装置を設置して人がいない状態、実際に人が作業する状態では、発塵と気流が異なります。清浄度を指定・報告するときは、測定した運転状態を明記してください。装置が停止している時の結果だけで、実作業中の濃度まで保証することはできません。
測定には、対象粒径に対応する粒子計数器と、適切な採取位置・採取量を用います。設備の設計、フィルター、気流、搬送、作業者の行動や清掃を含めて発塵源を管理し、変更や保守の後には必要な確認を行います。分類試験と日常の監視の目的・手順も区別して定めます。
仕様・報告書で確認すること
- 採用する規格と版、ISOクラスまたは旧Classを明記する
- 指定粒径以上の濃度と、個/m³・個/ft³を確認する
- 測定する場所と運転・作業状態をそろえる
- 空中粒子以外の必要な汚染指標も定める
まとめ
ISOクラス5の3,520個/m³は、0.5µm以上の空中粒子の値です。旧Classの数字と単位、ISOのクラス番号を区別し、規格・粒径・運転状態を明記します。工程が求める汚染管理と測定を組み合わせて、実際の製品品質につなげてください。
参考資料
参照日:2026年10月26日。工程条件や仕様は対象製品・装置の資料を確認してください。



